すっかりご無沙汰してしまいました。10月の見学旅行、ほぼリアルタイムの更新により生徒の様子をご覧いただけたでしょうか。どこに行っても、すばらしい生徒さんですね、と、お褒めの言葉を頂きてばかりいました。本当にその通りだと思いました。
今回の沖縄見学旅行では興南高校との交流会がありました。短い時間ながら北海道と沖縄の文化の違いなどについて生徒同士で説明し合いながら、あっという間に仲良くなっていました。沖縄の生徒達へのプレゼンテーションは、どの班の生徒もよく調べ、工夫し、わかりやすいものでした。相手にきちんと伝えようという相手意識や、目的意識の高さが感じられました。一つ一つの取組は、このように、相手、目的、場面、方法について意識したものでなければなりません。この意識こそ、コミュニケーションを支える資質・能力なのです。
今年の町民開放講座で取り組んだ「ハッピーハロウィーン」では、町民の方々を対象に、本校生徒や外国の方々がアシスタントとなって、英語でコミュニケーションを取りながらジャックオーランタンを制作しました。参加して頂いた町民の方やお子さん方に楽しく英会話をしながらランタンを作成することが目的でしたが、今回は、高校生の、英語で、大人の方やお子さん、そしてあちらこちらからかき集めた英語を母語とする外国の方々とかわすコミュニケーションスキルの向上もねらいとしました。
英語を話しながら、小さなお子さんに優しく手ほどきできる高校生の姿を町民の方に見て頂くという目的も合わせれば、一つの取組で三つの目的が達成できたと思います。何かに取り組むからには、三つのいいことを目指して取り組めば、多少苦労が多くても達成感を味わうことができますよね。「一粒で三度おいしいことをやろう」は私の口癖です。
11月16日には、市民団体「クスろ」から、代表の夏堀めぐみさんと副代表の名塚ちひろさんをお招きし、キャリア教育講座を開催しました。すごく楽しみにしていた講話でした。浦河高校の全員の生徒に聞いてほしかった内容でしたが、特に、自己理解や社会理解が進み、いよいよ2年次からそれぞれの目標に向かって様々な選択肢へと進んでいく1年次の皆さんに聞いてほしかった内容です。
生徒は、いずれ「働くこと」によって社会参加することになりますが、これからの世の中を生きる上では、会社などで働く力のほかに、「人と繋がっていく力」が必ず求められることになります。さらには、「人を繋げる力」まで身に付けていれば、より創造的に、豊かな生活環境を作り出すリーダーになることもできるでしょう。北海道は、多くの地域で高齢化、人口減少、地域産業の衰退などの問題を抱えています。せっかく空気がきれいで、水がおいしく、そこで育つ食べ物が安心、安全なものであっても、その地域を支える人がいなくなってしまえば、その地域は滅びてしまいます。北海道の豊かな財産がそんな風に滅びてしまわないためには、地域の価値を知り、そこに住む人々の個性を見つけ出して人々に紹介し、人と人とが結びつきながら、自分達が住む土地を元気にしようという人の輪を広げていく取組が是非とも必要だと思っています。
今回お越し頂いた「クスろ」のお二人は、まさに、そういった活動をされている方達です。生活するために働くことは必要最低限のことですが、経済的豊かさ以外にも、自分達の住む地域を自分達の力でよりおもしろく、元気にしていくことができれば、もっと豊かな生き方ができるのではないかと思います。やり甲斐や、達成感を味わうことができる自分の居場所としての地域。そんな風に作っていく地元には強い愛着も生まれるでしょう。そこで生まれる元気は、文化や福祉、教育、経済も元気にしていくでしょう。そんな地域づくりが、これからの若者には可能なんです。そういう力を、浦河高校の生徒にも身に付けてもらいたいと願っています。