ぐずついた天候が続き、イベントを企画されていた方々や行楽のために浦河を訪れた方にとってはあいにくな連休だったかもしれません。
　太平洋から押し寄せる白波は荒々しく、急に濃霧が目の前を覆ったり、それでも時折射し込む日差しが、小高い丘の斜面に花開き始めた桜の、ほんのりしたピンク色を一際鮮やかに映し出したりと、様々な自然の表情を楽しむことができました。
　少し車を走らせると、よく手入れされた緑の牧草が広々と続き、うらら湖だとか、天馬街道だとか、アポイ山、襟裳岬などなど、ドライブにはもってこいの地域であることがわかります。
　浦河に住むなら、是非行ってみたい飲食店にも、何件かお邪魔することもできました。どのお店の方も、この地域を愛し、訪れる人との繋がりを大切にされていることを強く感じました。地域は、こうして一人一人の地域への思いや、人との繋がりによって静かに栄えてゆくのではないかとも感じました。
　地域の特色や魅力を理解し、地域で働く人の姿に接し、これからの北海道にとって最も重要な地域づくりについて、高校生としてどのように関わり、どのような体験を通じてどのような価値観を手に入れることができるか、このような一連の活動が、地域の高校が目指さなければならない教育だと思っています。高校生の進路は様々ですが、どんな進学先でも、就職先でも、人が生活する基盤を作り守っていくなど、より豊かな人生を送っていける地域づくりは、誰もが自分自身の課題として意識的に関わっていかなければならない時代を迎えています。誰かが既に用意してくれているおしゃれで便利な生活環境に人が集中してしまっては、いずれ北海道は後戻りできない衰退の道をたどるでしょう。北海道は地域の集合体であり、一つ一つの地域が北海道を支えて行こうといった若い世代の意欲と知恵が必要なのです。
　浦河高校では、そのような意欲と知恵を身に付け、ローカルの価値をグローバルに発信できる生徒を育てたいと、この連休に改めて感じました。