鉛色の形相で生物を威嚇していた海も、次第に空の青さを映して、空の蒼、海の碧の境が混じり合う穏やかな春の装いに移り変わり、生き物たちの息吹を促し始めた今日の佳き日、浦河町長　池田　拓　様をはじめ、ご来賓並びに保護者の皆様方の祝福と激励の下、平成二十八年度北海道浦河高等学校の入学式を挙行できますことは、この上ない慶びでございます。
　ご多用中にもかかわらず、ご臨席を賜りました皆様方には、衷心よりお礼申し上げます。

　ただ今、入学を許可いたしました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。私たち、浦河高校教職員一同、心から歓迎いたします。
　また、保護者の皆様には、お子様が本日晴れて、浦河高等学校の生徒として新たなスタートを切られましたことに対し、心からお祝い申し上げます。まことにおめでとうございます。
　本校といたしましては、新入生の立派な成長を目指し、皆様と力を合わせて、充実した教育活動に取り組んでまいりますので、ご支援・ご協力をいただきますようお願いいたします。

  さて、浦河高校は、日高管内はもとより北海道内外で活躍する多くの諸先輩を輩出してきた、８３年の輝かしい歴史と伝統を誇る学校です。
　３年前、様似高校と再編・統合し、｢総合学科高校｣として新たな歩みを始め、この春には総合学科としての第２期生が巣立っていったところですが、全員が進路実現を果たすなど、しっかり成果を残して行ってくれました。
　そんな、伝統と新しさとが共存する浦河高校で、皆さんが勉学をはじめ、人として様々なことを学んでいくスタートに当たり、本校の校訓である、「自主　敬愛　努力」についてお話しいたします。

　この校訓は、飾りではありません。本校が目指す教育、生徒の皆さんを育てていくための一番根本にある指標です。
　浦河高校が、浦河高校の生徒、保護者、そして地域の方に対するお約束であると同時に、新入生の皆さんにも、いつもうそういう人間でありたい、そういう人間であるために努力し続けたいと強く思っていてほしい目標なのです。

　「自主」とは、物事をよく見て理解し、その上で、自分が何をすべきなのか、何が求められているのかを正しく判断し、実行できる「主体性」を意味します。

  「敬愛」とは、自分は勿論、他の人々の人格や生命を敬い、尊重する精神と、仲間の中で仲間の力を認めたり引き出したりしながら、人の輪を作っていく力を意味します。

  「努力」とは、「自主」「敬愛」の資質や能力をはじめから身に付けた人間はいないのですから、絶えず、一歩先、もう一歩先へと自らを進めていこうとする意志と、実行力を意味します。

　本校はそういう生徒を育てることを目指しています。本日、浦河高校で高校生活をスタートさせる新入生の皆さんも、このことを三年間、いえ、生涯忘れずに人間形成に努めることを今日ここで約束して頂きたいと思います。

　終わりになりますが、保護者の皆様のからお預かりいたしましたお子様は、これまで幼、小、中学校と様々な皆様が手塩にかけて育てて下さった生徒です。様々な方々の思いを浦河高校教職員はしっかりと受け止め、浦河町、様似町、新ひだか町を基盤とする地域、さらには北海道が末永発展していくための有為な人材として育て上げることによって、皆様方から一層信頼される学校を目指し、教育活動に努めてまいる所存です。
　御来賓の方々、また、保護者の皆様の、本校への変わらぬ御理解と御支援を重ねてお願い申し上げる次第です。
　本日入学された新入生の皆さんの大いなる健闘を心から期待いたしまして、式辞といたします。

　　　平成２８年４月８日