着任のご挨拶


                                  北海道浦河高等学校長　生　田　仁　志　

　４月１日に浦河高校に着任いたしました、生田仁志と申します。
前任校の標茶高校も、本校と同じ総合学科の高校でしたので、本校でも総合学科ならではの特色と魅力ある学校作りができるものと、たいへん嬉しく思っております。
　着任して日は浅いのですが、本校を巣立って行った数多の卒業生、保護者の皆様、地域の皆様に支えられ、育まれ、現在の浦河高校があるのだと実感させられる校風を感じております。また、本校の教職員は、熱意にあふれ、向学心が高く、しっかりと向き合うスタッフばかりですので、浦河高校を選んで本校の生徒となった在校生の皆さんには、一つでも多くのお土産を持って、進路実現を果たしてもらえるはずです。
　一方、郡部の学校はいずれ等しく中学生の減少、人口流出、地域産業の衰退等の連鎖によって、間口減、再編、募集停止という道をたどりつつあります。多くの学校は一人一人の生徒にきめ細かく対応し、生徒の課題と向き合い、生徒の進路実績の向上を図り、一人でも多くの生徒に入学してもらおうと精一杯特色をひねり出するなど、努力をしているところではありますが、そのことが、直接、地域の活性化や人口減少の歯止めには繋がらないのが現実です。短期的には、学校はカンフル剤にはなり得ませんが、中長期的な視点に立って見つめ直してみた時、地域作りの原動力となる生徒を地域とともに育てようとする歯車がかみ合えば、「地域づくり」が少しずつ加速するのではないかと思っております。　地域で活躍する人の姿、地域の自然や産業、地域の価値や魅力を、本校に在学する３年間でしっかりと見て、人と人が繋がることの面白さや、やり甲斐、達成感などを実感し、その上で、どんな進路に進んでも、自分の役割や使命を理解したり、人との繋がりを上手に作りながら社会を形成し、地域を元気にできる有為な人材に育てて行くことが、地域の学校の使命だと思うのです。
　学校と地域がともに生徒を育てるという姿勢を持つことが、いずれ、北海道を愛し、地元を動かそうとする若者の活躍に繋がるものと考えております。
　北海道は、豊かな自然環境とおいしく安全で豊富な食料の価値を知り、伝え、守る人を育てていくことによって支えられ、発展していくのだと思います。学校はそういう意味で、単に就職や進学の決定率に一喜一憂するだけでなく、生徒が生涯にわたって人と人との繋がり方や生活する地域との関わり方を見据えた、自分自身の「生き方」を意識できる生徒を育てることを教育の重点に据えなくてはならないと思っております。

　今後とも浦河高校へのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。